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ベストプラクティス ガイド: テスト自動化バックログ

動きの速い現在のソフトウェア開発環境において、効果的なテスト自動化スイートを維持することは、高品質のソフトウェアを継続的に提供するためにきわめて重要です。TestRail は、自動化されたテスト ケースの追跡と管理をサポートし、チームが確実にアプリケーションのアップデートやビジネス要件に対応し続けられるようにします。

テストケースのバックログに関しては、特に変更、更新、特定の詳細の追跡という点で、困難がある場合があります。複数のチームがバックログを共有するケースでは、課題はさらに大きくなります。自動化の進捗を継続的にモニターし、カバーされていない領域を特定し、自動化テスト スイートのメンテナンスを最適化することで、テスターとマネージャー層は予期しない問題を減らし、テスト プロセスをより効果的なものにできます。

自動テストケース (および自動化候補のテスト ケース) の追跡と管理

テスト ケースの追跡と管理は、手動テストの場合でも複雑なタスクですが、自動テストではさらに困難です。TestRail CLI (TRCLI) または TestRail APIを使用してテストを実行し、統合すると、TestRail で変更やアップデートを管理できるようになります。

TestRail_API (Navy Logo).png TestRail_CLI (Navy Logo).png

既存の自動化スイートを管理する場合でも、自動化を始めたばかりでも、どのテストケースが自動化済みかを管理し、自動化の候補を特定することが非常に重要です。TestRail はカスタム テスト ケース フィールドによってこの作業を簡略化します。[管理] エリアの [カスタマイズ] セクションでは、テストケースを効果的に管理および追跡するために必要なフィールドをいくつでも作成できます。以下は、テスト自動化のバックログを管理するのに役立つカスタム フィールドの例です。画像には、次の 2 つのカスタム フィールドがあります。

    • Is Automated (タイプ: チェックボックス)
    • Automation Candidate (タイプ: ドロップダウン)

 カスタム フィールドは適応性が高く、特定のニーズに合わせてカスタマイズできます。たとえば、「Is Automated」フィールドの設定は簡単です。

テスト ケースを作成または編集すると、次のように表示されます。

これらのフィールドを設定すると、以下のことが可能になります。

    • 自動テストと手動テストの識別: これらのフィールド (またはカスタマイズした他のフィールド) は、どのテストケースがすでに自動化されているか、またはいないかを追跡するのに重要な役割を果たし、手動テストの担当者が、実施する必要のある手動テストに集中できるようにします。
    • 手動テスト チームとテスト自動化チームの作業の重複を避ける: 収集された情報によって、どのテストが自動化済みか、どのテストが自動化の候補になる (さらに、場合によっては、実装に手動テスト チームのサポートを必要とする) か、どのテストがまだ手動での実行のみが必要かを特定することが容易になるため、チーム間での作業の重複を減らすのに役立ちます。そうすることで、テスターは依然として手作業によるテストが必要な特定のテスト領域に集中できます。
    • テストケースをフィルタリングして、手動テストが必要な領域または自動化の拡張が必要な領域に焦点を絞る: どのテストが自動化済みかを簡単に識別できるため、手動テスト担当者は、どのテストが自動化パイプライン (組織によっては、CI/CD パイプラインに統合される場合もあります) の一部として実行済みかを知ることができます。

上記のサンプル フィールドを採用 (またはニーズに合わせて カスタムフィールドを作成) した場合、テスターは 自動化の有力な候補となるテストを特定することになります。テスト ケースを適切に追跡できるよう、レビューやテスト スイートのメンテナンスの際に、該当フィールドを更新する必要があります。

フィールドを最新の状態に保つことで、テスターは効率的なテスト実行に貢献しながら、自動化の進捗状況に対する可視性をチーム リーダーに提供します。これにより、より効率的なリソースの割り当てと、注意が必要なテスト領域への優先的対応が可能になります。

このデータはまた、自動化の候補を評価し、実行頻度、安定性、ビジネスへの影響などの要因に基づいて、最も有益なテストを優先するのに役立ち、マネージャー層に貴重な洞察を提供します。データは、自動化の取り組みを組織の目標と一致させ、情報に基づいた意思決定をサポートし、自動化の範囲を継続的に拡大しながらより効率的なテストを保証するための動的なバックログとして機能します。

アプリケーションが進化するにつれて自動化スイートを更新し、カバーされていない領域や冗長なテストを避ける必要があります。テスト スイートが常に正確で実態と一致するよう、テスターは、手動テストが自動化された場合にテストケースフィールドを更新します。自動テストを事前にレビューし、TestRail の情報を更新することで、テスト スイートと現在のアプリケーション バージョンが一致した状態を維持できます。これはまた、アップデートが必要になったことを検知するのに役立ち、古いテストを実行するリスクを低減します。マネージャー層はこのデータを使用して、アプリケーションの変更に伴って自動テストの更新が必要になったことを突き止め、必要に応じて自動スクリプトを修正するためのリソースを割り当てることができます。これにより、自動化スイートが最新かつ有効な状態に保たれ、冗長なテストや欠陥の見逃しを防ぐことができます。

自動化の取り組みを成功させるには、チーム間の協力が不可欠です。その過程では、手動テスト担当者、テスト自動化エンジニア、マネージャー層がそれぞれ異なる役割を果たします。

手動テスト担当者:

    • 特に、手動テストから自動テストへの移行期において、自動化候補のテストをマークし、自動テスト関連のフィールドを最新の状態に保ちます。
    • 自動化エンジニアと密接に協力し、自動化スイートが常に改善され、ビジネスのニーズに適合するよう保証します。

テスト自動化エンジニア:

    • 手動テスト担当者からの情報に基づいて、自動化のメリットが最も大きいテストを特定します。
    • 自動化戦略を効果的に計画、実施し、優先順位に従って自動化スイートを維持、拡張できるようにします。

マネージャー層:

    • 高い視点から自動化の進捗と可能性を把握します。
    • 全体的なビジネス目標との整合性を確保し、信頼できる情報に基づいて自動化戦略の有効性を評価します。

結果として、リソースが効率的に割り当てられ、自動化の取り組みがビジネスのニーズに沿って進むよう保証できます。

要点

    • カスタム フィールドを定期的に更新する: 自動化済みまたは自動化候補のテストをマークし、正確なトラッキングを維持します。
    • 情報を頻繁に見直す: カスタム フィールドを定期的にレビューすると、次に自動化すべき手動テストの優先順位付けに役立ちます。レビューは、テストの実行頻度、安定性、ビジネスへの影響を考慮するべきです。
    • 変更の追跡: 手動テスト担当者もテスト自動化エンジニアも、ともにアプリケーションの変更に対応する必要があります。アプリケーションの進化に合わせて自動テストを更新し、最新の状態に保ちます。
    • チーム間のコラボレーションを確実にする: 手動テスト担当者、テスト自動化エンジニア、およびマネージャー層のコラボレーションを推進します。このコラボレーションにより、自動化の状況とバックログが明確に見えるようになり、 作業負荷と優先順位を維持するための重要な情報が提供されます。
    • 価値に基づいて自動化に優先順位を付ける: ビジネス ニーズ、テスト カバレッジ、投資対効果に基づいて、テスト自動化の取り組みに優先順位を付けます。価値が高く、反復的で、特殊な条件下ではヒューマンエラーが発生しやすいテストを重点的に自動化します。

TestRail のバックログ フィールドは、テスト自動化の効率を高めるために不可欠です。これにより、手動テスト担当者、テスト自動化エンジニア、マネージャー層など、さまざまな役割のチームが自動化の進捗を追跡し、カバーされていない領域を特定し、アプリケーションの進化に合わせて自動化テストが適切であり続けるようにすることができます。 カスタム フィールド を効果的に使用すると、テスト自動化の取り組みを合理化し、手動テストの負担を減らし、自動化がテスト プロセスにメリットをもたらし続けるようにできます。これによって、すべてのメンバーが目標に向かって一致協力し、継続的なテスト自動化の改善に取り組むことができます。